トレード

価格が決まる/動く仕組み

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金融市場において
為替レートや株価は
日々刻一刻と変動しています。

どういう理屈で価格が決まり
なぜ変動するのかを理解することは
トレードをするにあたってとても重要な事です。

ですが、相場本の大半は
株価の未来を占う数式や
企業業績の分析方法などに終始し、
あまり語られることがありません。

それゆえ、根本的なところを勘違いしたまま
相場で戦うことになってしまいがちです。

そのような事態を避けるためにも
金融市場における基本的な仕組みでもあるので
価格が決まる仕組みについて、
説明したいと思います。


※為替相場も株式相場も
基本的にはどちらも同じなのですが
分かりやすい株式相場で
説明を進めたいと思います。


どのような価格帯であろうと
売りたい人と買いたい人の
双方が存在します。

売りたい人の売る理由が
利益確定(売却)のための売りなのか
暴落を見越しての売りなのか
裁定取引(※)を目的とした売りなのか

理由は定かではなくても
とにかく売りの注文が存在します。

※裁定取引については
今はわからなくてもOKです。
いずれコラムで説明します。


買いたい人も同じです。

買いたい人の買う理由が
利益確定(買戻し)のための売りなのか
暴騰を見越しての買いなのか
裁定取引を目的とした買いなのか

理由は定かではなくても
とにかく買いの注文が存在します。


売りたい人はなるべく高い値段で
買いたい人はなるべく安い値段で
取引したいというのが人情と言うものです。

それはそうですよね。
トレードで儲かる仕組みのところで説明したように、
儲かるためには

「安く買ったものを高く買ってくれる人に売る」
「高く売ったものを安く売ってくれる人から買い戻す」

必要があるのですから。


では実際に、取引で見られる
「売買板」と言うものを見てみましょう。

下図にあるのが、売買板です

通常、左側に「売り注文の株数」
右側に「買い注文の株数」が並んでいます。

売り注文の側を「売り板」と言います。
逆に、買い注文の側を「買い板」と言います。

では、売り板のほうを見てみましょう。
262円を境に、262円より高い価格で売る注文が
ずらりと並んでいます。

見方としては、
264円のところの株数が400であれば、
売り注文が400株あります
と言うことを意味します。

この、「○円で売り注文」のように
価格を設定して注文することを
「指値注文(さしねちゅうもん)」
といいます。


買い板のほうも同じです。
262円を境に、262円より安い価格で買う注文が
ずらりと並んでいます。

見方も同じで、
261円のところの株数が200であれば、
買い注文が200株あります
と言うことを意味します。


なぜ同じ価格の売り注文と買い注文が
ないのでしょう?

答えは、同じ価格の売り注文と買い注文は
「すでに取引が成立(「約定(やくじょう)する」と表現されます)して、
今現在は注文が存在しないから」
です。


売買板には、未成立の注文が
並んでいるといって差し支えありません。

価格が決まるには、売り注文と
買い注文の価格が合致しなければなりません。

そして、一番最後に取引が成立した価格が
現在の価格として扱われます。

「そんな当たり前のこと、
長々と説明しなくても分かってるよ」
と思われるかもしれません。

ですが、念のため売買板の仕組みから解説
しておかなければ、まだいくつかある
重要な事を説明できないのです。


先ほど説明に使った売買板の図、
これをもう一度見てみてください。

そして、いま自分がこの株を
「200株買いたい」と考えたとしましょう。

今の価格は262円ですが、買い板で一番高い価格の
261円で買おうと思ったら
261円の買い注文の一番最後に並ぶ必要があります。

今は261円で売りたいという注文がないので
即座に200株買うことはできません。

もし261円で売りたいという注文があっても、
100株しか売り注文が入らなければ
自分の買い注文まで成立させることはできません。

今の価格の262円で買うという注文を出していたとしても、
「262円で売るよ」と言う売り注文が入らなければ
結局買うことはできません。


どうしても買いたいと思うのであれば、
価格については妥協して、
「いくらでもいいからすぐに買いたい」
という注文を出す必要があります。

この、「いくらでもいい注文」のことを
「成行注文(なりゆきちゅうもん)」といいます。

※ストップ高、ストップ安中の銘柄など、
自分の買い注文/売り注文に対して応じてくれる
注文が売買板にない場合は、成行注文を出しても
取引は成立しません。


成行で買い注文を出すと、
現在の売り板にある一番安い価格と株数での
約定となります。

そうすると、価格は262円から263円へと変動します。

つまり、成行注文で価格が変動すると言えます。


成行注文の影響について、ほかにも説明したいことがあります。

もし、成行の買い注文で注文した株数が
売り注文にある株数よりも多かったら、
売買板で次に安い価格の売り注文との
マッチングになります。

これを、約定した株数が注文した株数に達するまで
続けることになります。

先ほど説明に使った売買板の図、
こちらをもう一度使って説明しいます。

もし仮に、成行で1000株の買い注文が出たとしたら、
新たな売り注文が現れない限り
この売り板で1000株の買い注文を受け付けることになります。

その場合は、
263円で300株、264円で400株、265円で300株
の約定となり、価格は265円に更新されます。


つまり、売り板に指値注文で売られている株数よりも
多い成行の買い注文があるような、
注文バランスの不均衡によって
価格は変動するというわけです。


以上、説明したように
価格が決まるために、または変動するのに必要なモノは
数式の結果や企業業績の良し悪しではありません。

価格が決まるために必要なモノは、
売り注文と買い注文の価格が合致することです。

そして、価格の変動に必要なモノは
注文バランスの不均衡です。


世にあふれている相場本では
売買板の説明は省かれることがほとんどです。
特にFXでは売買板が見れないことから、
価格変動の原理が理解できません。

この価格変動の原理を理解していないがゆえに、
相場の迷路へと迷い込み、
勝てないトレードを繰り返してしまいがちです。

しかし、売買板の仕組みを理解することが
本当の意味で価格決定と変動を理解することにつながります。


価格は数式や企業価値では
推し量れない事を忘れないようにしてください。

この記事を書いた人
悟流 剛
トゥインクルサロン専業のトレーダー。株・先物・FX・仮想通貨のトレードを通じて、貴重な経験を積む。 現在は、ゆったりとした先物取引で着実に利益を上げていくスタイル。
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