「株式であれば、
企業価値と連動して株価が上がるので
みんなで仲良く勝てるのでは?」
と思われる方がいるかもしれないので
補足しておこうと思います。
企業価値で株価が上がるわけではないのですが、
株価が上がり続けていれば、
その瞬間は確かにみんなが儲かっていると
錯覚することでしょう。
その時点で売った人は、すでに利益が出ていますし
安く買ってまだ売っていない人は、
未確定ですが含み益が出ています。
新しく買った人も、株価が上がっていれば
同じように未確定ですが含み益が出ます。
含み益のおかげで、みんなが儲かっていると
錯覚してしまうのです。
実はこの時点で本当に儲かっているのは、
売った人だけです。
そして、一番最後に買った人は、
株価が上がったわけではないので
含み益が出ているわけではありません。
株価が上がればそれだけ
買いたい人は減ってきます。
「転売して儲けてやろう!」
と意気込んでいる人は別でしょうが、
本来であれば、思ったよりも高くなっているものを
買う人はあまりいないのです。
同時に、株価が上がればそれだけ
売って利益確定をさせる人が増えてきます。
「株価は永久に上がり続ける」という
幻想を抱いている人でさえ、
墓場まで株式を持っていくわけではないでしょう。
さらには、含み益は証券口座の画面上の数値でしかなく、
手元には1円たりとも入っていないので
いつか売ることになるのは当然の話です。
このように、買いたい人が減り
売りたい人が増えたとき、
「株価が上がり続けていれば」
と言う前提が崩れます。
株価が下がれば、
最後に買った人は含み損を抱えてしまいます。
含み益を持っている人も
売らない限り利益は確定されません。
含み益を利益確定させるためには
買ってくれる人に売らなければいけないのです。
日常用品や食料品と違い、
買った株式は劣化したり無くなったりはしないので
いつか買ってくれる人はいなくなります。
ねずみ講やマルチ商法の謳い文句のように、
買ってくれる人が永久かつ
無限に居たりすることはありえません。
「誰もが儲かる」
「みんなで儲ける」
そういう美しい夢は、夢でしかありません。
金融市場では、負けた人の損が
買った人の利益となっている
非情な世界です。
株式投資も同様です。
投資をする以上、このことを
心に留めておいてほしいと思います。