別稿【こんな心理状態になってはいけない!】と同じく、
今回のテーマも自分自身の苦い経験から取り上げるところです。
古い相場師たちが絶対に取り組まないのが、品薄株です。
私がこの教訓を聞いた時は
「ふーん。そうなんだ。」
程度にしか、感じていませんでした。
品薄株、ということは、売買されている量が少ないことを意味します。
取引高が少ないということは、参加者もそう多くはないととらえられるでしょう。
このような銘柄では、資金力があるどこかの誰かによって、
大きく相場が動かされてしまうことがあります。
そんな「誰か」がいなくても、参加者が少ないことから、
連鎖反応的に価格が大きく動いてしまうことがあります。
例を挙げてみましょう。
品薄株ということで、売り手も少なければ買い手も少ない状況です。
いま、上昇してきている銘柄があってそろそろ天井を付けそうだ、
というあたりというイメージです。
そろそろ天井だろうということで、
売りポジションを持っている空売り筋がいることでしょう。
ここで、
「資金力のある誰かによる買い」 か
「何らかのニュースによる買い」によって、
予想していた天井を超えてしまいました。
こういう状況が発生することは、日常茶飯事です。
予想していた天井を超えたので、空売り筋は損切りしようと買戻しを行います。
成行注文です。
しかし、そこには売ってくれる人がほとんどいません。
品薄株で、売り手が少ないのですから。
そうなると、高い値段で設定してある指値の売り注文から買い戻さざるをえません。
その結果、どうなるでしょうか?
最新約定価格は、指値が設定されていた高い値段に更新されます。
高い値段になったことで、別の損切り注文を誘発します。これも成行注文です。
そうなると、さらに高い値段の指値注文が約定することとなり、価格はどんどん高騰していきます。
これが連鎖反応的に価格が動く原理です。
このような相場のことを「踏み上げ相場」と言います。
資金力のある誰かの場合は、これを意図的に引き起こせます。
「そんな高値では誰も買わないだろう」という予測は、こうやって簡単に外れてしまいます。
わたしは以前、上記のような相場で空売りを仕掛けていて、
予想をはるかに超えた高値に直面したことがあります。
売り上がり前提でいたことから、ロスカット注文は置いていなかったため、
その時は想定以上の含み損を抱えることになってしまい、冷静さを欠いてしまいました。
大変ありがたいことに、相場はそこで天井を付け、当初目論見通りの下げに転じてくれましたが、
これはただ単に運が良かっただけです。一歩間違えば大きな損失を被っていました。
この踏み上げ相場の天井で売るためには、
踏まされてもなお、天井で売り上がっていかなければなりません。
それを可能にするには、余裕のある資金力と冷静さが必要不可欠でしょう。
自分自身の未熟が招いた事態だったとはいえ、品薄株に手を出したばかりに経験した恐怖体験です。
品薄株ではこのように予想できない値動きとなることがあります。
市場に出回っている株が品薄ならば、資金力があまりなくても価格操作ができるからです。
もちろん、大型株でも同じようなことは起きえます。
しかし、品薄株と同じように大きく変動させるには多大な資金力が必要なるので、
そこまでの値動きにはなりにくいです。
品薄株はこのようなリスクがあるので、
古い相場師的な分割売り上がりは避けたほうが良いと思います。